○岩手町文化財保護条例
昭和54年3月15日
条例第2号
岩手町文化財保護条例(昭和32年岩手町条例第7号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、法の規定又は岩手県文化財保護条例(昭和51年岩手県条例第44号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で岩手町の区域内に存在する文化財を保護し、かつ、その活用を図り、もって町民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「文化財」とは、法第2条第1号から第4号までに掲げる次のものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で岩手町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で岩手町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝塚、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で岩手町にとって歴史上又は学術価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、山岳その他の名勝地で岩手町にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で岩手町にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(所有権等の尊重及び他の公益との調整)
第3条 岩手町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(指定等)
第4条 教育委員会は、町内に存するもので、第2条第1号の有形文化財のうち重要なものを「岩手町指定有形文化財」(以下「町指定有形文化財」という。)に、同条第2号の無形文化財のうち重要なものを「岩手町指定無形文化財」(以下「町指定無形文化財」という。)に、同条第3号の民俗文化財のうち有形で重要なものを「岩手町指定有形民俗文化財」(以下「町指定有形民俗文化財」という。)に、無形で重要なものを「岩手町指定無形民俗文化財」(以下「町指定無形民俗文化財」という。)に、同条第4号にある記念物のうち重要なものを「岩手町指定史跡、岩手町指定名勝又は岩手町指定天然記念物」(以下「町指定史跡名勝天然記念物」という。)に指定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定に基づく指定をしようとするときは、あらかじめ指定しようとする有形文化財については所有者(所有者が判明しない場合を除く。)及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)の同意、無形文化財については保持者又は保持団体(町指定無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)の認定をしなければならない。町指定無形民俗文化財については、必要があると認めるときは、町指定無形民俗文化財の保持者又は保持団体(町指定無形民俗文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定することができる。
3 教育委員会は、第1項の規定に基づく指定をしようとするときは、あらかじめ岩手町文化財保護審議会の意見を聴かなければならない。
4 教育委員会は、第1項の規定に基づく指定をするときは、その旨を告示するとともに、当該町指定文化財の所有者、保持者、保持団体等に通知しなければならない。
6 教育委員会は、第1項の規定に基づく指定をしたときは、当該町指定文化財の所有者、保持者、保持団体等に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第5条 教育委員会は、町指定有形文化財、町指定有形民俗文化財及び町指定史跡名勝天然記念物としての価値を失ったとき、その他特別の理由があるときは、その指定を解除することができる。
2 教育委員会は、町指定無形文化財及び町指定無形民俗文化財については、保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の理由があるときは、保持者又は保持団体の認定を解除することができる。
(所有者等の管理義務及び管理責任者)
第6条 町指定文化財の所有者等は、条例に基づき町指定文化財の管理をしなければならない。
2 町指定文化財の所有者等は、特別の理由があるときは専ら自己に代わり当該町指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 町指定文化財の所有者等は、前項の規定により管理責任者を選任したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。また、管理責任者を解任したときも同様とする。
4 第1項の規定は、管理責任者について準用する。
(所有者等の変更等の届出)
第7条 町指定文化財の所有者に、変更があったときは、新たに所有者となった者は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他別に定める事情があるときは、保持者又はその相続人は速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。
3 保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動が生じ、又は解散し、若しくは消滅したときも代表者(保持団体が解散し、若しくは消滅した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。
(現状変更等の制限)
第8条 町指定有形文化財並びに町指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については、維持の措置又は非常災害のために必要な応急の措置を執るとき、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微であるときは、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、規則で定める。
3 教育委員会は、第1項の規定による許可には、町指定文化財の保存のために必要な限度において条件を付すことができる。
(現状変更等の届出)
第9条 町指定有形文化財を修理しようとするとき、並びに町指定有形民俗文化財の現状を変更しようとするときは、所有者等は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。
(保存)
第10条 町指定文化財の修理等は、所有者、保持団体(以下「所有者等」という。)が行うものとする。
2 前項に要する費用は所有者等の負担とする。ただし、町長は、多額の場合に限り、予算の範囲内において、当該町指定文化財の所有者等に対し費用の一部を補助することができる。
(公開)
第11条 教育委員会は、町指定文化財の所有者等に対し、町の行う公開の用に供するため、町指定文化財の出品、出演及び提示することを勧告することができる。
2 教育委員会は、前項の規定に基づく勧告により町指定文化財が出品、出演、提示されたときは、その職員のうちから当該町指定文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。
3 町長は、第1項の規定に基づく勧告により町指定文化財を出品、出演、提示したことに起因して当該町指定文化財が滅失し、又は損失したときは、当該町指定文化財の所有者等に対し、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、当該町指定文化財が所有者等又は管理責任者の責めに帰すべき理由によって滅失し、又はき損したときは、この限りでない。
(滅失、き損等の届出)
第12条 町指定文化財の所有者等(管理責任者があるときは、その者)は、当該町指定文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、速やかにその旨を届け出なければならない。
(選定等)
第13条 教育委員会は、町の区域内に存する伝統的な技術又は技能で文化財の保存のため欠くことのできないもの(法第147条第1項の規定により選定保存技術として選定されたもの及び県条例第43条第1項の規定により岩手県選定保存技術として選定されたものを除く。)のうち保存の措置を講ずる必要があるものを岩手町選定保存技術(以下「町選定保存技術」という。)として選定することができる。
2 教育委員会は、前項の規定に基づいて選定をするに当たっては、町選定保存技術の保持者又は保存団体(町選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
3 教育委員会は、町選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなったとき、その他特別の理由があるときは、その選定を解除することができる。
第14条 削除
(罰則)
第15条 町指定有形文化財を損壊し、き損し、又は隠匿した者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
第16条 町指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をして、これを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
第17条 第8条の規定に違反して、許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わないで、町指定有形文化財若しくは町指定史跡名勝天然記念物の現状を変更し、若しくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかった者は、3万円以下の罰金又は科料に処する。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 この条例(以下「新条例」という。)の施行の際、旧条例の規定によりなされた申請、その他の手続は、それぞれ新条例の規定に基づいてなされた手続とみなす。
附則(昭和59年3月23日条例第7号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成16年3月17日条例第4号)
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第2条、第3条、第6条、第12条(第14条の改正部分を除く。)、第20条及び第25条の規定は、平成16年4月1日から施行する。
附則(平成17年6月16日条例第19号)
この条例は、公布の日から施行する。